『天気の子』や『君の名は。』など、大ヒットアニメ作品をいくつも手掛ける監督・新海誠によるアニメ映画。

ストーリーは、靴職人を目指す高校生・タカオが、雨の日の公園で、謎の女性・ユキノと出会うところから始まる。雨の日の朝はきまって学校をサボり、公園で靴のスケッチを描くことにしているタカオは、その後もいくどとなく、ユキノと雨のなかの穏やかな時間を過ごすことに。そして、交流を重ねるうちに、ふたりは自然と心惹かれ合うようになるが…。

梅雨の公園を舞台に進む２人のストーリーは、雨の日の静けさと、雨水に濡れる新緑の美しさが見どころ。新海誠監督の作品らしい、透明感と瑞々しさに溢れた梅雨や雨の描写を堪能したい人におすすめのアニメ映画の一作。

KAエスマ文庫（京都アニメーション）により刊行された同名のライトノベル『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を原作とするTVアニメシリーズ。2020年には、完全新作となるアニメ映画作品『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開予定となっている。

過酷な戦場に身をおいてきた少女兵・ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、終戦を機に、手紙の代筆を行う「自動手記人形」としてC.H郵便社で働き始める。自動手記人形の仕事は、依頼主の想いを汲み取り、最良の形で文字にすることが必要。だが、戦いの記憶しかないヴァイオレットには、人の気持ちが分からなかった。不向きな仕事でも続けたい、そう願い出るヴァイオレットの真意とは…。

本作で雨の印象的なシーンといえば、ヴァイオレットが自動手記人形の仕事にこだわる理由を答える場面。まっすぐ前を見据えるヴァイオレットの澄んだ眼差しと、雨が止み、雲間から明るい光が差し込む情景の美しさは必見。京都アニメーションらしい美しい映像と、元・少女兵の切なくも優しいストーリーを楽しみたい人におすすめ。

森見登美彦の小説を原作とするアニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』の監督として知られる石田祐康が、2010年京都精華大学アニメーション科卒業制作作品として制作・公開した短編アニメ作品。アマチュア時代の作品ながら完成度が高く、第15回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞を受賞している。

本作は、いつしか雨が止まなくなり、人々が郊外や高台へと移り住んでいった「雨の街・rain town」が舞台。ある日、廃墟と化した街の奥深くに迷い込んだ一人の少女は、かつての街の記憶を持つ一人ぼっちのロボットと出会う。ほの暗く、どこかノスタルジーな雰囲気に満ちた街を舞台に、少女とロボットの不思議で切ない交流を描く。

優しい雨音と独特のBGMだけが静かに流れ、観たあとは雨のなかでも外に出かけたくなる作品。穏やかに過ごしたい梅雨の日におすすめの短編アニメ作品の一作。