紅の豚の見所
「飛ばねぇ豚はただの豚だ」のセリフで有名な宮崎駿監督の作品。本作のキャッチコピーが「カッコイイとは、こういうことさ。」である通り、ストーリー全体を通して、渋い大人の雰囲気を楽しむことができる。
世界一次大戦でイタリア空軍のエース・パイロットとして活躍していた主人公のポルコ・ロッソ。退役後はアドリア海の凄腕賞金稼ぎとして、鮮やかな赤塗りの戦闘飛行艇を気ままに乗り回す日々を送っていた。しがらみを嫌い、自ら豚へと姿を変えたポルコだったが、名の知れた飛行艇乗りである彼のことを世の中がそっとしておくはずもなく…。
紅の豚の見所は、とにかく美しい地中海の描写。アドリア海の輝く水面と抜けるような青空は、観ているだけで爽快に気持ちになること間違いなし。また、世界一次大戦後というほの暗い時代背景がありながら、それを感じさせないコミカルで愛嬌のある登場人物たちも大きな魅力。
テンポのいい人情ストーリーが好きな人や、ヨーロッパの街並みや自然を美しいアニメーションで堪能したい人におすすめのジブリ映画。

コクリコ坂からの見所
今回、映画館で上映されている4作品の一つ『ゲド戦記』を手掛けた宮崎五郎監督の作品。原作が少女漫画ということもあり、ボーイ・ミーツ・ガール的な青春ストーリーを楽しむことができる。
1963年の横浜で、海の見える下宿屋を切り盛りする少女・小松崎 海（こまつざき うみ）。彼女の通う港南学園では、新聞部部長の風間俊と生徒会長の水沼史郎が起こす騒動で日々、生徒も教師も翻弄されていた。さまざまな問題の中心的人物である2人を冷ややかに見ていた海だったが、ある事件をきっかけに風間との距離を縮めていく…。
コクリコ坂からの見所は、作中に登場する魅力的な洋館の数々と、昭和レトロな世界観。古いものから新しいものに切り替わっていく時代の流れを、学生目線で瑞々しく描いている。また、ストーリーを盛り上げる劇中歌も印象的なものが多く、ぜひ音楽にも耳を傾けながら視聴してほしい。
爽やかなでほろ苦い青春ストーリーが好きな人や、1960年代のレトロな雰囲気を楽しみたい人におすすめのジブリ映画。

かぐや姫の物語の見所
『ほたるの墓』や『おもひでぽろぽろ』、『平成狸合戦ぽんぽこ』など、数々の名作ジブリを生み出した高畑勲監督の作品。『竹取物語』を原作としている。
翁（おきな）によって輝く竹より取り上げられたかぐや姫は、里山の豊かな自然に囲まれ、周囲の子どもたちと同じようにのびのびと育っていた。ところが、かぐや姫の誕生以降も輝く竹から黄金や豪奢な衣が次々と出現。それらを集めるうちに、翁はかぐや姫を高貴な姫君に育てることこそ天命と思い込むように。姫の幸せを一心に願った翁は、かぐや姫の想いとは反するかたちで、里山から都へと移住する決意を固める。
かぐや姫の物語の見所は、作中で描かれる日本の美しい四季と豊かな自然。長編アニメーションでは難しいとされる、作家の手書き線を活かした背景を最初から最後まで貫いており、まるで一枚絵がそのまま動いているような臨場感と迫力のある映像に仕上がっている。また、原作の『竹取物語』とは一味も二味も違う登場人物やストーリーも大きな魅力。特に本作の「帝（みかど）」は、インパクトのある見た目と言動から、インターネット上で大いに反響を呼んだ。初めて観る人の場合、帝の印象があまりに強すぎて、肝心のストーリーが頭に残らない可能性も。その場合は2回以上じっくり視聴するといいだろう。
かぐや姫の物語は、日本古典の世界を丁寧なアニメーションで味わいたい人や、日本の四季や自然の美しさを楽しみたい人におすすめのジブリ映画。